1853年創業のトランクメーカー

卓越した遺産

ゴヤールの起源:
メゾン・マルタン

1792年、ピエール・フランソワ・マルタンは、レイティエ・コフレティエ・アンバルール(荷造り用木箱、梱包用品製造職人兼荷造り職人)という職業を専門とする会社を設立しました。トランクメーカーの黄金時代が訪れる前のこの時代、その看板が示すように、この職業は入れ物の製造と同様に、衣類をたたむという繊細な技術を必要としていました。

「ボックスやケースを種類豊富に取り揃えております。併せて、丁寧な梱包をご提供。壊れやすい家具や貴重品、帽子、ドレス、花などもオイルドキャンバス、キャンバス、わらを使って安全に梱包いたします。その他、牛革のトランクやコート掛けを製造、オイルクロスや防水加工を施したキャンバス布にいたるまで、すべて適正価格で販売いたします。」

その評判は年々高まり、ベリー公爵夫人マリー・カロリーヌ・ド・ブルボン・シシル妃殿下御用達という名誉を与えられるまでになりました。

1792

ゴヤールのアンティークポスターゴヤールのアンティークポスター
サントノレ通り 233 にあるゴヤール ブティックのアート・アーカイブサントノレ通り 233 にあるゴヤール ブティックのアート・アーカイブ

1834 : 住所の変更

それまでヌーヴ・デ・キャプシーヌ通り4番地にあったメゾン・マルタンはサントノレ通り347番地に移転しました。その場所は1856年にパリの番地付番変更により233番地となりましたが、メゾンはそれ以来今も変わらず同じ場所にあり続けています。

1841 :メゾン・モレル

跡継ぎのいなかったピエール・フランソワ・マルタンは、後見として面倒を見ていたポリーヌ・ムタにメゾンを与え、ポリーヌは1840年に従業員の一人であるルイ・アンリ・モレルと結婚しました。モレルは、「ヴァンドーム広場のそばにある、ヌーヴ・デ・キャプシーヌ通りのメゾン・マルタンの後継者」という看板に記されている通り、先代からの系譜に名を連ねています。

ゴヤールのアンティークポスターゴヤールのアンティークポスター

創業者フランソワ・ゴヤール

次にルイ・アンリ・モレルは、そのノウハウを、1845年に雇った17歳の若き弟子、フランソワ・ゴヤール(1828-1890)に伝えました。この弟子は、ピエール・フランソワ・マルタンとルイ・アンリ・モレルの二人の指導者による模範的なトレーニングを受けることになります。

1845

モンテカルロにあるゴヤール ブティックのアート・アーカイブモンテカルロにあるゴヤール ブティックのアート・アーカイブ

1853 :メゾン・ゴヤール

ルイ・アンリ・モレルが急逝した1852年、フランソワ・ゴヤールが後を継ぎ、1853年に看板はモレルからゴヤールとなりました。彼は32年間にわたって会社のトップに立ち、会社は発展し続けました。

フランソワ・ゴヤールのポートレートフランソワ・ゴヤールのポートレート
ゴヤールのアンティークポスターゴヤールのアンティークポスター

1885 : 革新者エドモン・ゴヤール

32年以上にわたってのれんを引き継いできたフランソワは、1885年4月1日、当時 歳だった長男のエドモンに事業を譲りました。エドモン・ゴヤールは、父の仕事を基に、サントノレ通りのブティックを、国際的な顧客を持つブティックへと変えていきました。初めて広告活動を考案し、万国博覧会に参加し、モンテカルロ、ビアリッツ、ボルドーにブティックを開設し、ニューヨークとロンドンにオフィスを構え、名門コーチビルダーのランス&オーシャー社と協力してカー用品を開発しました。

1890 : ル・シック・デュ・シアン

1890年代から、メゾン・ゴヤールは犬用のアクセサリーを提供してきました。

四本足のお洒落さんのために、ベルベットのオーバーコート、ツイード地で仕立てたお出かけ用ウエアや、スポーティなドライビングゴーグル、ブーツ、首輪、フリルの首輪、リードが用意されています。それらを収納するための特別仕様のトランクもあります。その成功は目を見張るもので、ベル・エポック期のパリでは、「最高におしゃれな犬はゴヤールがお似合い」だったのです。当時、トップイラストレーターだったピエール・ファリーズ、ミッチ、ベンジャミン・バルビエたちが描いたゴヤールの広告キャンペーンは、斬新で遊び心あふれるものでした。猫たちには専用のグルーミングキットやバッグなど、さらに猿たちのためのグッズも発売されていました。

2008年6月、メゾン・ゴヤールは、サントノレ通り352番地、歴史的な233番地のブティックの向かい側に、19世紀末に始まった伝統を引き継ぐペットアクセサリー専門のブティック「ル・シック・デュ・シアン」をオープンしました。

ゴヤール ドッグカラー用のアンティークポスターゴヤール ドッグカラー用のアンティークポスター

1891 :ホワイトハウスから冬の宮殿まで:世界の偉人たちを顧客に

ウィンザー公爵夫人とゴヤール トランクのアーカイブ写真ウィンザー公爵夫人とゴヤール トランクのアーカイブ写真

1891年6月24日付のレターヘッドには、英国王室とロシア帝国の紋章と米国の国章が記されています。ゴヤールはその卓越した技術と創造性により、さまざまな宮廷や大統領の公式納入業者となりました。

その後、20世紀を通じて、多くの著名人、有名な芸術家、産業界のトップ、国家元首、戴冠者が杉綾モチーフのキャンバスとともに公の場に登場しました。サントノレ通り233番地のブティックでは、半ば必然の出会いを含む途方もなく素敵な出会いがあったのではないかと夢想します。パブロ・ピカソ、サシャ・ギトリ、カプールタラーのマハラジャ、ジャック・カルティエ、アニェッリ家、ロックフェラー家、ロマノフ家、グリマルディ家、エスティ・ローダー、バーバラ・ハットン、ポンピドゥ夫人、アリ・カーン王子、ココ・シャネル、ジャンヌ・ランバン、ロミー・シュナイダー、サラ・ベルナール、エディット・ピアフ、アルトゥール・ルービンシュタイン、クリストバル・バレンシアガ、コール・ポーター…

1892

マリリン・モンローのトランクのアーカイブ写真マリリン・モンローのトランクのアーカイブ写真
ゴヤールディン キャンバスゴヤールディン キャンバス

 1892 : 象徴的なキャンバスの誕生 

革新への情熱を持つ先見の明があったエドモン・ゴヤールは、ゴヤールファミリーの寓意として、ゴヤールディンと名付けたキャンバスを開発しました。このドット柄は、彼の祖先であるパリのコンパニオン・ド・リヴィエールが運んだ水路に沿って浮かぶ無数の丸太からインスピレーションを得たもので、3つの杉綾状に配置され、ゴヤールの名前の中心文字である「Y」の連なりを形成しています。

さらに革新者エドモン・ゴヤールは、Y字の3つの線を使ってキャンバスにサインをしています。明るい色の重ね合わせで彼の名前だけが浮かび上がり、アドレスは2色のブラウンを使い、中央の対称部分にParisが繰り返されています。パリのトランクメーカーの中で、看板名をキャンバスに入れたのは彼が初めてでした。

グランプリを受賞した、1913 年のGand展でのディプロマグランプリを受賞した、1913 年のGand展でのディプロマ

1900 :万国博覧会

エドモン・ゴヤールは1900年のパリ万国博覧会に参加しましたが、これは当時の有名メゾンとしては考えられないことでした。ゴヤールはそこで銅メダルを獲得し、これを皮切りに、ミラノ万国博覧会(1906年)で金メダル、ロンドン開催の仏英博覧会(1908年)で金メダル、ブリュッセル万国博覧会(1910年)で栄誉賞、ロンドンでのイギリス・ラテン博覧会(1912年)でグランプリ、へント博覧会(1913年)で3つのグランプリと、数々の名誉ある賞を受賞していきます。ゴヤールは、サンフランシスコで開催されたパナマ・パシフィック国際博覧会(1915年、審査対象外)、ストラスブール博覧会(1919年、エドモン・ゴヤールは審査員)、パリで開催されたパリ現代産業装飾芸術国際博覧会(1925年、栄誉賞)にも参加しています。

1936 :フランスのラグジュアリーの立役者

ロベール・ゴヤールは、隣人であり友人でもあるシャルル・リッツやルイ・ブシュロンとともに、ヴァンドーム協会の創設メンバーの一人となり、その法的構成を管理し、サントノレ通り233番地でホストを務めました。以後、ヴァンドーム協会は、フランスのラグジュアリー・セクターの出現に重要な役割を果たすことになります

1936

ヴァンドーム広場のアート・アーカイブヴァンドーム広場のアート・アーカイブ
カール・ラガーフェルドのトランクのアーカイブ写真カール・ラガーフェルドのトランクのアーカイブ写真

1939 & 1972 : 顧客との特別な関係

19世紀から20世紀にかけてのゴヤールのお客様のお名前は、ゴヤールがオーダーの記録を残すために使用しているインデックスカードに記録されています。これらは、ゴヤールが有名・無名を問わずお客様と築き上げてきた永遠の絆を象徴しています。

例えば、1939年に制作されたウィンザー公爵夫妻のカードは、依頼を受けてから生涯開かれ続け、1972年に開かれたメゾンの大親友、カール・ラガーフェルドのカードは2019年に惜しまれつつ閉じられるなど、数十年に渡って開かれるカードも珍しくありません。

1974 : 情熱の誕生

ジャン・ミッシェル・シニョルは、レアールのアンティークショップで初めてゴヤールのトランクを見つけました。ゴヤールへのの好奇心はその歴史と価値を知ったことで、最も優れた作品を収集するメゾンへの情熱へと変わっていきました。

アルトゥール・ルービンシュタインのトランクのアーカイブ写真アルトゥール・ルービンシュタインのトランクのアーカイブ写真

1998 :バトンタッチ

最近のゴヤール・アトリエ風景最近のゴヤール・アトリエ風景

ジャン・ミッシェル・シニョルは、他者の力を借りることなく、ゴヤールを引き継ぎました。彼はサントノレ通りの遺産を復活させ、ノウハウを復活させ、ヨーロッパ、アメリカ、アジアに新しい工房と販売ブティックを開設します。10年の間に、彼は現代のマーケティングの威力に押し付けられたものや大量生産の流れに惑わされることのないユニークなメゾンに再び威信と威光を与えました。彼を動かしたのは時代への超越性、信憑性、独占性、独立性、自由への愛です。

ゴヤールディンキャンバス

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