魔法のスリッパ

05-30-2014

かのナポレオンは、戦場にいる時だけスリッパ (かかとのついた室内履き) を履いていなかったと言われます。

16世紀に母国イタリアから最初にフランスにスリッパをもたらしたカトリーヌ・ド・メディシスは、自分のスリッパを宝石と金色の糸の刺繍で飾り立てていました。偉大なロシアの女帝、エカチェリーナ2世も同様の豪華なスリッパを愛用していました。 ローマ教皇のお使いになるスリッパは「スカーレット・モロッコ」と呼ばれる緋色とホワイトダマスク柄です。こうした方々のスリッパはどのようなものか正確にわかっていますが、シンデレラの使用するスリッパとなると判然としません。当の童話作家、シャルル・ペローによると、それはガラスでできているとのことですが、19世紀のフランス人作家、オノレ・ド・バルザックはペローのガラス製というのは非現実的だ、本当はvair (リスの毛皮) で作られていたと主張しています (リスの毛皮を表すこのフランス語はガラスを意味するフランス語verreと音が非常に似ています)。

伝統的に権力や華やかさと結び付けられることの多いスリッパの使用は19世紀までは上流階級の特権でしたが、20世紀に入って庶民の間で人気が高まり始め、ついには快適さとリラクゼーション、そしておそらくはだらしなさの代名詞ともなりました。

旅行用ミュール、Saut-de-Lit (フランス語で「起床」の意) は、最も洗練されたバリエーションのスリッパを取り揃えております。メゾン・ゴヤールはこの実用的なフットウェアを非常に滑らかな上質の子牛の皮で作り、Goyardineのプリントされたコットンサテンで裏打ちすることで、かつてのスリッパの栄光と優雅さを復元しました。 しかし、何にもましてゴヤールは、いまだにスリッパ作りに精通している熟練職人の手を借りて、今や風前の灯火と化したその技術を再現し、永続させようとしています。 次の数字が、一足のスリッパを作るのにどのくらいの器用さが必要かを伝えているかもしれません。まず、その作製プロセスは50以上の段階に分かれており、一足一足が完全なハンドメイドにより精密に作られます。また、3種類のステッチを使い分けており、たとえば補強のために革ケースに入れた形状記憶フォームでヒール部分を裏打ちし縁を手縫いするのには、それだけで仕上げるのに1時間かかります。

ゴヤールの製品が常にそうであるように、名人芸と言って良い高度な技術が随所に駆使されたSaut-de-litスリッパは、羽毛のように軽く、付属のジッパー付きレザーケースに入れて旅行かばんやスーツケースに忍び込ませて旅行のお供とするのに最適です。 履き心地の良さとスタイリッシュなデザインを同時に叶えたSaut-de-Lit。それこそは、ゴヤールの提唱する、生活・旅の中で永遠に変わらない不朽の芸術を象徴する一品なのです。

05-30-2014
 

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