夢を追う

12-30-2013

数カ月前、一人のアメリカ人紳士がパリ・サントノーレにあるゴヤール旗艦店に連絡してきました。

美術愛好家で、コミック画家でもある彼は、自分が欲しいものに非常に正確なビジョンを持っていました: 注文されたケースは、ただポートフォリオや美術用品を運ぶものとして機能するだけでなく、最も重要なことは、その構造に内蔵の画板が不可欠だとする特徴でした。多くのケース、あるいは画家のトランクに備わっている折りたたみ式のテーブルに反して、ディテールは信じられないほど真っ直ぐで、初心者にとってはささいなことに思えるかもしれませんが、その実非常に熟練した職人のみが実現できる、本質的な技術上の偉業を表すものです。

言い換えると、この聡明な紳士は、ユーティリティとシックさ、プレゼンテーションと機能性が一つになった、完璧なアーティスト・トランクを探し求めていたのです。 ゴヤールのあらゆるものに興味を示す、二人のスタイリッシュな女性たちの息子であり、兄弟でもある彼は、個人、その個人独自の特別要件を満たす目的に合わせ、驚きのオーダーメイド品を作り出す、という私たちの職人が長年かけて確立した伝統に精通していました。そして、私たちこそ彼の夢実現を手助けする、理想的なパートナーだとすぐに思いついたのでした。 それはまさにその通りです: 1853 年以来、私たちは常に夢を追う人々を心から歓迎してきました。

わくわくすると同時に骨の折れるプロセスはこうして始まりました: 幾度にも及ぶ私たちの特別オーダーチームとデザイン・スタジオとの意志疎通およびミーティングを通して、夢は徐々に形を取り始め、改造した Palace トランクとして始まったものは、完全なカスタマイズ作品になりました: その側面の対角線カットは、傾斜面で斜めに統合されている画板を対角線的に支えられるようになっています。 ヘッドにある小さなカップボードは、絵画用品に素早く手が届くようになっています。 複数の仕切りがある引き出しは左まで伸び、画板が開いている時でさえ、左利きの人でもより無理なくアクセスできるよう考えられています。 裏地が伝統的なゴヤール・イエローである一方、注文の品はブルーの Goyardineラインのポートフォリオハウジングで、11x17 インチの芸術的なブリストルベラムです。再発行で縮小される前のコミックブック・アートの従来サイズのまま、左へスライドするようになっています

色彩設計はパーソナライズされると同時に、センチメンタルさを漂わせています: オレンジでトリムされた Goyardine キャンバスにチョイスされたライトブルーは、紳士が姉からプレゼントされた最愛のプラスチック時計を組み入れたものです。一方、レッドとイエローのたてストライプは、子供時代に彼がコミック、画帳や鉛筆を入れていた鞄を懐古するものでした。 まさに第一号となるこのアーティスト・ケースの顔として、中央は同様にたてにレッドとイエローのストライプとなっています。 ゴヤールのケースによくある通り、過去と現在がシームレスに織り込まれています: この幼年期の思い出にインスピレーションを得た擬人化は、ウィンザー公に好まれたそのゴヤールトランクとほぼ同じです。

トランクのハードウェアは、常にその永遠の美学と大切な財産を放棄することなく、それぞれの顧客のビジョンをとらえ、かつ誠実であり続けるゴヤールの能力の一例です: ケースの bijouterie (装飾) およびゴヤールのタグプレートがゴールドである一方、ネームプレートはエッジがゴールドのピンとなったシルバーです。 矛盾するどころか、この大胆なチョイスはしばしば横断した各地を示す、多数のカラフルな旅行ステッカーが貼られる従来の旅行用トランクにも耳を傾けるものとなっています。 ゴールドとシルバーの銘板は、隣同士にその伝統を詩的な方法で競っています。 さらなるゴヤールの伝統は、トランクのオーナー名を名乗る注文刻印プレートです。 アメリカ人紳士の名前の真下には、2010 年 11 月 27 日を表わす「112710」がさらに刻まれました。 それは彼が長い間夢見ていた、この完全なアーティスト・トランクを作ろうと決めた日です。 その日から約三年が過ぎた日、ゴヤールの小さな手助けによって彼の夢はついに実現しました。

12-30-2013
 

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